- Nami Sakai

- 4月13日
- 読了時間: 3分
更新日:4月18日
JPN Paradox 09|残業と働き方改革の現実
もし残業代が報酬の一部であるなら、本当に残業削減は達成できるのでしょうか。

以前、ワークライフバランスについて触れましたが、 今回は「残業」という視点から考えてみたいと思います。
ここ数年、日本では、長時間労働の是正や、 より柔軟な働き方の実現を目的とした取り組みである、 「働き方改革」が進められてきました。
その意図自体に意味があることは間違いありません。
一方で、実際の現場を見ていると、ふと思います。
これは本当に「改革」と言えるものなのか、と。
単に企業や働く人が従うべきルールが増えただけのように感じるときもあります。
例えば、残業時間の規制です。
上限を設けることは、過度な長時間労働を防ぐうえで合理的な施策です。
それでも、日本の多くの大企業では、管理職未満の従業員にとって、残業代が報酬の一部として一般的かつ前提とされています。
ここが今回の矛盾です。
残業代が支給される限り、
人は何を理由に定時で仕事を終えようとするのでしょうか。
長く働くほど報われる構造がある限り、
人の行動もまた、それに沿っていくのは自然なことのように思えます。
つまり、残業を減らそうとしている一方で、
その前提となる仕組み自体は、依然として残業を想定し、
ある意味ではそれを後押ししているとも言えます。
では、少し視点を変えてみましょう。
残業に依存した報酬モデルではなく、
残業代を前提としない分、基本給を上げるという考え方。
そして同時に、限られた時間の中で成果を出すこと、
時間内に仕事をやり切ることが評価される企業風土を育む。
定時で帰ることが、コミットメントの欠如ではなく、
集中力や段取り力、そして仕事の質の高さの表れとして捉えられるとしたら、
働き方そのものも変わっていくのかもしれません。
ルールだけでは、変化は生まれません。
意識や文化の変化があってこそ、はじめて変革につながっていくと、私は思います。
「改革」という言葉の裏側で、本当は何を変えようとしているのでしょうか。
表面的な労働時間の数字なのか。
それとも、働く人の人生の質なのか。
あるいは、まったく別の何かなのか。
みなさんは、どのように感じていますか。
***JPN Dynamix シリーズは、日本を批判するものではありません。一見すると矛盾しているような側面に、さまざまな視点から目を向け、考え、対話を生むためのきっかけをつくる試みです。こうしたギャップや違和感を可視化することで、対話が生まれ、理解が深まっていくことを願っています。ぜひ、皆さんの視点もお聞かせください。***

